希望する買付をだした後はいよいよ一番重要で一番難しい金融機関の開拓です。
ボロ戸建ての現金購入などでない限り不動産投資には必ずこのステップが必要です。
一方で、サラリーマン大家にとって最もハードルの高いステップでもあります。特に、この記事を書いている2023年現在は融資の窓口が絞られサラリーマン大家にとっては冬の時代でしょう。
金融機関開拓はどこまでいっても正解はないですが、ここでは王道の手法をご紹介します。
- これから不動産投資をしようと考えている方
- 金融機関の開拓方法がわからない方
- これまで何回か打診したけどなかなか承認がもらえていない方
金融機関の打診にあたり必要な書類
個人に関する資料
金融機関の打診のためには手ぶらで行くことはできません。なぜなら、銀行はどんな人かわからない相手にお金を貸してはくれないからです。
つまり、銀行は貸したお金を利子をつけて確実に返済してもらえる人にしかお金を貸さないということです。
まずは、あなたがどういう人なのか知っていただくための書類一式は準備しておきましょう。
参考までに私が初めての金融機関にドアノックする際の資料をご紹介します。
- プロフィールシート
- 確定申告書3期分のコピー
- 源泉徴収票3期分
- 会社名刺
- 預金通帳(表紙と残高ページ)一式のコピー
- 有価証券・生命保険の残高証明
- 個人納税証明書(過去3年分)
- 保有物件の登記簿謄本一式のコピー
- 住民票のコピー
- 運転免許証のコピー
【参考】プロフィールシートとは
プロフィールシートとは、私個人に関する情報を整理して要約した資料一式になります。
プロフィールシートには以下の情報をまとめて整理しています。
この資料さえみれば私に関する全体像を把握できるようにしています。
- 個人の経歴書(職務履歴、資格、住居・連絡先等の個人情報)
- 家族情報
- バランスシート(B/S)
- 保有物件一覧
- 収入一覧
- 借入金・支出一覧
- レントロール一覧
物件に関する資料
次に購入を検討している物件に関する資料もまとめます。これは初回問い合わせ時に不動産仲介業者からもらっていれば問題ありません。
- 物件概要書・マイソク
- レントロール
- 土地・建物の謄本
- 公図
- 建物図面
- 住宅地図
- 建築確認書・検査済み証
- 固定資産評価証明書・課税証明書
- 路線価図
金融機関に打診をする
ドアノックの仕方
必要書類を揃えた後はひたすら金融機関に打診をします。
このご時世新型コロナウイルスによっていきなり支店に行くことはNGです。なので、電話を使って打診をします。
電話に出られるのはたいていの場合受付窓口の女性が多く、この方は融資担当者ではありません。
なので、融資に関する相談、と端的に要件を述べて、融資担当者へつないでもらいましょう。
融資担当者に代わった後は、不動産賃貸用物件の購入にあたり融資を希望していることを端的に伝えましょう。
ほとんどの場合、あなた個人に関する情報や物件に関する情報のヒアリングを受けます。
そのうえで、可能性がありそうであれば実際に資料をみながら面談させてほしい、となりますので、面談日を決めてください。
この時点で、築年数がオーバーしていたり、会社員大家には融資していなかったり、物件所在地が営業エリアでなかったり、様々な理由で断られることも多いです。
面談までたどり着けるのは50%程度と考えておいてください。
物件所在地近くの信用金庫
いまも昔もサラリーマン大家の強い味方の一つは地域の信用金庫でしょう。
特に融資の窓口が厳しくなっている現在においては頼れます。
信用金庫の貸出前提は、①あなたが信用金庫の営業エリアに住んでいること、②物件が信用金庫の営業エリアにあること、の2つが絶対です。
自分の居住地近くの物件を探しましょう、と言っている大きな理由がこれです。
上記2つの条件を満たしているようであれば地域の信用金庫に打診してください。
私も地場の信用金庫さんにお世話になっております。
法定耐用年数を大幅に超えた物件でも融資をだしていただいており、本当に助かっています。
物件所在地近くの地方銀行
物件所在地近くの地方銀行も一つの選択肢となり得ます。
いわゆる第一地銀、第二地銀、と呼ばれるような物件です。
これらの地銀ごと、さらには支店ごとに会社員の不動産融資に対する融資姿勢が異なるため一概に言えないですが、信用金庫よりも厳しくみられる傾向があります。
私の居住地は埼玉なので、埼玉の第一地銀である武蔵野銀行に何回か打診をしましたが、かぼちゃの馬車事件の影響でかなり厳しくなっているという回答をもらいました。
もしかしたら支店長や担当者が変わればスタンスも変わるかもしれませんが、埼玉の地銀は厳しいです。
一方千葉銀行などは前向きな話も聞きますので、千葉エリアの方は有力かもしれません。
東京都エリアをターゲットとしている地方銀行
東京都及びその近郊の物件を融資対象にしている地方銀行は営業エリアが広範であり、また、居住エリアもあまり関係ないため物件次第では打診先になります。
代表的なところとしては、静岡銀行やするが銀行などです。
するが銀行はかぼちゃの馬車事件で有名になった銀行でもあり、不動産投資を検討されている方はご存じかと思います。
事件以降しばらく融資をストップしていましたが、最近融資を再開しています。
ただ、以前のように誰にでも貸出すというスタンスではなくなり、それなりの条件をしっかり確認するように変わってきています。
1棟目を対象にしている地方銀行
1棟目の購入に限り融資をする、というスタンスをとっている銀行もあります。
代表的なところとしては、①香川銀行、②滋賀銀行、③徳島大正銀行、などです。
これらの銀行は1棟目に限る、個人に限る、などの条件をだしており、2棟目からは使えない銀行なため、もしあなたが1棟目の購入なのでればこれらの銀行に電話をしてみても良いと思います。
不動産融資に前向きなネット銀行
ネット銀行も一つの選択肢となり得ます。
代表的なところとしては、オリックス銀行、です。
ウェブサイト上で物件情報を入力することでどれぐらいの融資可能性があるか簡易チェックもできます。
打診もネット完結なので1棟目の方はとりあえず申込してみても良いかと思います。
日本政策金融公庫
政府系の日本政策金融公庫も一つの選択肢となり得ます。
日本政策金融公庫は、財務省所管の政府系金融機関であり、個人や中小企業等の零細事業の支援に力をいれています。
そのため、仮にあなたの属性が低かったとしても、そこではなく事業として成立していれば融資をしてくれる可能性があります。
ただ、不動産賃貸業に対する融資について、近年は融資額1,000万円、期間10年が上限のようなので、大きな物件はキャッシュフローが回らず成立しません。
相当小さいアパートかボロ戸建て投資に対しては有力な選択肢となり得ます。
しかし、融資に関する打診や審査にそれなりの時間がかかるため、スピード勝負となってしまうような物件では負けてしまう可能性も高くなります。
ノンバンク系の金融機関
どうしても欲しい物件なのに融資がなかなかおりないときの選択肢としてノンバンク系の金融機関もあります。
代表的なところとしては、三井住友L&S、SBILS、申請I&F、などです。
これらの金融機関は他の金融機関が融資をださないような、大幅に法定耐用年数をオーバーした物件などにも融資をだしてくれます。
一方で、金利が高いというデメリットもあります。
また、、1棟目からノンバンクで借りると、ノンバンクでしか借りることができない属性と判断され、2件目以降融資が付きにくくなります。
なので、これから不動産投資を始めようとしている方は避けた方がよいです。
まとめ
サラリーマン大家にとって最大の関門である金融機関開拓の解説をしました。
ここで融資がおりないと不動産投資はスタートできませんのでなんとしてもクリアしなければいけません。
一方で、絶対融資がおりる手法、というのも存在しません。
しっかりと資料を揃えて、10行でも20行でも融資がおりるまでひたすら開拓する努力をしてください。
こんなに資料を揃えるのかー、、、と思ったり、そんな数に打診をするのかー、、、と思った方は不動産投資は向いていない可能性があります。
一方で、楽しそー!と思った方はいつか必ず融資してくれる金融機関が見つかると思います。
資料一式をしっかり揃えて、融資承認がもらえるまでひたすら開拓!